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日本MRSについて

会長挨拶

未来社会を切り拓く材料科学

社会では有用な材料を創成する人材が強く求められています。MRS-Jは、社会性・国際性・創造性・自主性に富んだ技術者と研究者の議論の場を提供し、材料研究の成果を通じて人類社会の発展に貢献していきます。

さて、フィールズ賞を受賞した広中平祐先生よると、『どんなくだらない論文でも、たくさん論文が出てくる研究所から、創造的な仕事が生まれてくる』ということです。[1] とすると、ドンドン研究を進めて多くの論文を出すのが良いことになります。この点から、日本から出版される論文数が近年伸びていない点は気がかりです。論文数を増やすには、研究遂行と論文執筆に費やす時間を増やすことが最も単純な解決策だと思われます。また、近年は機械学習などを援用した高速材料探索が盛んになっています。この方向性は研究の加速に貢献するので、間違いなく重要で進めるべきです。これは旅行の場合に例えると、新幹線で旅をしている状況に似ています。一方で、徒歩で散策すると高速移動では見えない情景・気づきが得られます。高速材料探索のデメリットは、情報を人間が十分に理解・咀嚼できない可能性が高まることです。新幹線での移動と徒歩での散策の上手な組み合わせに類する方法が今後の研究では有用ではないでしょうか。  

最後に、MRS-Jは材料研究に必須の分野横断的な特長を有する学会です。材料の種類は無尽蔵とまではいえないまでも非常に多く、未開拓有用材料の発見のチャンスは多くの研究者に開かれています。未来社会を切り拓くために、日本から次々と有用な新材料の発見・開拓が続くことを期待しています。

[1] 丸山宏、新企業の研究者をめざす皆さんへ、近代科学社、2019の54頁

一般社団法人 日本MRS 会長 白谷 正治